【在住者が解説】ロンドンの治安が良いエリア・悪いエリア

ロンドンでは、エリアごとに治安状況が大きく異なります。安全に旅行するためには、治安の良い地域・悪い地域について知っておくことが重要です。

この記事では、実際にロンドンに居住している筆者が、治安が良いとされる地域、注意が必要な地域について解説していきます。

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具体的なエリア名を挙げて説明していくので、ぜひプランニングの参考にしてみてください。

イギリス・ロンドンの治安

イギリスの治安

経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)が発表した2024年の世界平和度指数(Global Peace Index)によれば、英国は1.569ポイントで第20位と評価されています。※数値が1に近いほど平和

ちなみに日本は1.336ポイントで第7位、アメリカは2.518ポイントで第93位です。

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世界的に見て、英国は平和度が高い=治安が良い国とされています。

ロンドンの治安

それでは、英国の首都ロンドンの治安はどうでしょうか?

ロンドンの犯罪率は、10万人あたり8,000~10,000件となっています。

東京の犯罪率は10万人あたり800~1,000件です。

どこまでを犯罪とカウントするか/報告するかは国によって基準が異なるので、単純に比較することはできませんが、それでも、ロンドンの犯罪率は東京に比べてかなり高いと言えるでしょう。

特にロンドンでは、薬物犯罪(ドラッグ)スリ詐欺、そして特定のエリアではナイフによる暴力犯罪の発生率が高くなっています。

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イギリスは安全ですが、ロンドンは治安が良いとは言えないかも…

ロンドンの地理

ロンドンは32の自治区(Borough)とシティ・オブ・ロンドン(City of London)の合計33の区域に分かれています。

ロンドンの区
Photo by TUBS Licensed under CC BY-SA 3.0.

ここからは、区ごとに治安が良いエリア・悪いエリアを紹介していきます。

治安が良いエリア

ロンドンで治安の良いエリアといえば、リッチモンド・アポン・テムズ(Richmond upon Thames)キングストン・アポン・テムズ(Kingston upon Thames)など、市内中心部から離れた郊外の地域となります。

これらの地域は犯罪率が非常に低く、現地ファミリー層の居住地として人気です。

しかし、中心部への地下鉄アクセスは良いとは言えず、観光するには不便。

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のどかな街並みを楽しみたい方や、のんびりと長期滞在するには良いと思います。

逆に、便利なロンドン中心部は、郊外と比べると犯罪率が高いのですが、その中でも一般的に治安が良いとされているエリアを以下に挙げてみます。

ケンジントン&チェルシー(Kensington and Chelsea)

ハイドパーク西部~南西部に隣接するエリア。落ち着いた美しい高級住宅地で、中心部にもかかわらず治安が良い地域です。

エリア内には、ハロッズ、ケンジントン宮殿、ロンドン自然史博物館などがあります。

特にサウスケンジントン(South Kensington)サークル&ディストリクトラインピカデリーラインが通っており、利便性も◎

ケンジントン(Kensington)北部のホランドパーク(Holland Park)周辺も、緑豊かで閑静な住宅街で、雰囲気が良いですね。

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ホテルの数は多くありませんが、とてもおすすめのエリアです。

ウェストミンスター(Westminster)

区(Borough)としてはシティ・オブ・ウェストミンスター(The City of Westminster)があり、その中にさらにウェストミンスター(Westminster)という小地域があるので、少しややこしくなっています。
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“シティ・オブ・ウェストミンスターのウェストミンスター”は、日本の地名でいうと”新宿区新宿”みたいな感じ。
ここでは、シティ・オブ・ウェストミンスター全体について説明していきます。
シティ・オブ・ウェストミンスターは、テムズ川西岸の都会的な地域から、高級住宅地の多いリージェンツ・パーク(The Regent’s Park)の西側まで広がっており、それぞれの街によって雰囲気や治安が大きく異なります。

メイフェア(Mayfair)は、ハイドパークの東側に隣接しており、18世紀頃からロンドン随一の高級住宅地として貴族が暮らしていたエリアです。オックスフォード・ストリートには高級ブティックが立ち並び、日本でいう銀座や表参道のような雰囲気です。街の南側のグリーン・パークを抜ければ、バッキンガム宮殿があります。

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ドラマ『ブリジャートン家』の舞台でもあります。
メイフェアの北側のメアリルボーン(Marylebone)も治安が良い高級住宅地でおすすめです。
さらにメアリルボーンの北にあるセント・ジョーンズウッド(St. John’s Wood)は、アメリカ系の住民が多い高級住宅地。

小地域としてのウェストミンスター(Westminster)は、バッキンガム宮殿、ビッグベン、ウェストミンスター寺院など、主要観光スポットが集中しており、テムズ川を渡ればロンドン・アイにも徒歩でアクセスできます。また、交通の便も非常に良いことから、観光の拠点として非常に便利なエリアです。北側に観光名所が集中しており、南側では旅行者の姿はあまり見られません。

これらのエリアは雰囲気が良いのですが、シティ・オブ・ウェストミンスターは全体的に観光客が多く、それを狙ったスリや盗難が非常に多いエリアなので、注意は必要です。統計上、シティ・オブ・ウェストミンスターの犯罪率は、ロンドンでワースト1となっています。

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私はウェストミンスターで危険を感じたり犯罪に遭遇したことはありませんが、デモなどは頻繁に行われています。また、スリ対策のため身の回り品には常に気を配り、警戒するようにしています。

イーリング(Ealing)

上記2つの区に比べると都心からは離れてしまいますが、ロンドン・ヒースロー空港(LHR)と市内中心部のちょうど中間に位置しており、LHR空港を利用する旅行者にとって便利です。
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閑静な住宅街ですが、エリザベスラインセントラルラインが通っており、LHR、大英博物館、セントポール大聖堂、ハイドパークなどは直通です。
イーリング・ブロードウェイ(Ealing Broadway)ウェスト・アクトン(West Acton)は日本人在住者が非常に多い地域として有名で、日系スーパーがあり、街を歩けば頻繁に日本語が聞こえてきます。緊急の際には日系の病院もあることから、旅慣れていない方でも安心。
イーリング・ブロードウェイはセントラルラインの始発駅で、駅近くに大型スーパーもあります。

治安が悪いエリア

下記はロンドンで一般的に治安が悪いイメージがある街です。

タワーハムレッツ(Tower Hamlets)

ロンドン塔から東側に広がる地区。再開発が進んでいますが、一部地域は貧困率が高く、犯罪に注意が必要です。

特にホワイトチャペル(Whitechapel)ベスナル・グリーン(Bethnal Green)は暴力事件やギャング関連の事件が報告されています。

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観光スポットでもあるロンドン塔のすぐ東にあるエリアなので、足を踏み入れてしまいがち。ロンドン塔の西側は治安の良いエリアなので、付近を散策する場合は西へ。

ニューハム(Newham)

オリンピック後の再開発で注目を集めていますが、貧困層が多いエリア。

ストラトフォード(Stratford)商業施設周辺のスリや詐欺、また、夜間には暴力事件も要警戒。

ハックニー(Hackney)

貧困率や失業率が高く、最も治安が悪いと言われる区です。

犯罪率が高いだけでなく、ナイフによる暴力犯罪反社など悪質な犯罪が多いことで有名。

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トレンディなエリアとして一部の若者やアーティストに人気のエリアですが、避けた方が良いでしょう。

サザーク(Southwark)

劇場や近代的な建築があり、旅行者もよく通る区ですが、窃盗強盗のほか、ナイフによる犯罪が多いエリアとしても知られています。

特に注意が必要なエリア:エレファント&キャッスル(Elephant & Castle)ペッカム(Peckham)

クロイドン(Croydon)

クロイドンは、地域によって治安に大きな差があります。

北部エリアでは暴力犯罪や性的犯罪が多発しており、特にウェストクロイドン(West Croydon)駅周辺は要注意。

南部は犯罪率が低く、再開発もされており、比較的安全な地域です。

ハーリンゲイ(Haringey)

ナイフによる暴力犯罪が多いエリアで、近年も増加中です。銃犯罪も増えています。

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これらの地域も、近年は再開発などによって治安が改善していることが殆どですが、注意が必要な所もまだ残っているので、見分けがつかない場合は滞在を避けるのが無難かも。