第二次世界大戦後、ソ連により築かれた「ベルリンの壁」。この記事では、ベルリンの壁の歴史や、実際に壁を見学できる観光スポットを、画像つきで詳しくご紹介していきます。
ベルリンの壁の概要と歴史
第二次世界大戦で敗戦したあと、ドイツは連合国(アメリカ・イギリス・フランス・ソ連)により分割統治されることになりました。
- 東ドイツ=ソ連が統治(地図の赤いエリア)
- 西ドイツ=アメリカ・イギリス・フランスが統治(地図のグレーのエリア)

首都ベルリンは地理的には東ドイツにありましたが、連合国の共同管理下におかれました。
- 東ベルリン=ソ連が統治
- 西ベルリン=アメリカ・イギリス・フランスが統治
1950年代、自由を求めた人々が、社会主義の東ドイツから資本主義の西ドイツへ徐々に脱出していくようになります。
人材の流出を恐れた東ドイツ政府は東ベルリンにベルリンの壁を建設し、西側への脱出ルートを遮断。最初は有刺鉄線で囲うだけでしたが、年を追うごとにコンクリート壁・監視塔・射撃装置などを備えた本格的な封鎖線へと変貌していきました。
そして1989年、東ドイツ政府が突如「旅行の自由」を認めたことにより、市民が壁に集まりハンマーで壁を壊しはじめます。
現在、壁の大部分は撤去されましたが、一部が保存・展示されています。
ベルリンの壁の観光スポット
ベルリン市内には、かつての壁の痕跡や関連施設が点在しています。特におすすめしたいのは次の2大スポットです。
ゲーデンスケッテ・ベルリナー・マウアー(Gedenkstätte Berliner Mauer)
ベルリンの壁の一部が保存され、見張り台やフェンスなども再現されており、当時の様子を詳しく理解できます。
アクセス
最寄駅はNordbahnhof(S1, S2, S25, S26)
改札を出たら、[Gedenkstätte Berliner Mauer | Berlin Wall Memorial]の表示に従って出口へ。
徒歩約3分で到着です。
トラムM10番、バス247番も周辺を通っています。
見どころ
Memorial(ベルリンの壁メモリアル)
まずは、屋外エリアから見ていきましょう。
ベルリンの壁は、実際には内壁と外壁の二重壁となっており、その間に境界地帯(死の帯)が設けられていました。この地帯には見張り台があり、壁を越えようとする人々を監視・逮捕・射殺していました。


また、夜間監視のための照明や、足跡をわかりやすくするために敷き詰められた砂利なども展示されています。
Kapelle der Versöhnung(和解礼拝堂)
この場所にかつてあった「和解教会」は、ベルリンの壁建設により、境界地帯の中という立地になってしまいました。
すると東ドイツは、監視の妨げになるという理由で1985年にこの教会を爆破。現在の和解礼拝堂は、壁崩壊後の1999年に再建されたものです。
その際に破壊された教会の一部も敷地内に展示されています。

Fenster des Gedenkens(追悼の窓)
壁を越えようとして死亡した犠牲者たちの記念碑。
Dokumentationszentrum(ドキュメントセンター)
ベルリンの壁の歴史博物館。入場無料。
屋上の展望台からは、ベルリンの壁や境界地帯を上から見渡すことができる。
トイレあり。
所要時間
観光の所要時間は1~2時間程度です。
屋外展示は24時間見学可能ですが、ドキュメントセンターは10~18時オープン・月曜定休なので注意。
イーストサイド・ギャラリー(East Side Gallery)

ベルリンの壁のうち最も長く保存されている1.3kmの区間で、壁が崩壊した後、21ヶ国118人のアーティストにより作品が描かれました。
風化や落書きなどで多くの作品が損傷しましたが、2009年に修復が行われています。
アクセス
最寄駅のOstbahnhof(S3, S5, S7, S9)から南に進むと、シュプレー川沿いの歩道に沿ってギャラリーが始まります。
「兄弟のキス」(Bruderkuss)
ベルリンの壁といえばこの作品が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

ソ連の政治家ブレジネフとドイツの政治家ホーネッカーが口づけをする、衝撃的な一枚です。
所要時間
所要時間は30分ほど。
屋外展示のため、24時間見学可能です。